総務 AI 業務効率化は小さく始める
松尾:今日は、製造業で総務と人事を兼務されているNさんに来ていただきました。まず結論から言うと、総務 AI 業務効率化は、いきなり全社DXを掲げるより、毎日15分以上かかっている定型業務を3つ選ぶところから始めるのが現実的です。
Nさん:はじめまして、Nです。まさにそこが聞きたくて。社員は80人ほどで、総務2人、人事1人、経理は兼務です。AIを入れたい気持ちはあるのですが、何から触ればいいのか分からない状態でした。
松尾:80人規模だと、総務に来る依頼がかなり混ざりますよね。備品、入退社、勤怠、契約書、採用面接の日程調整まで流れ込む。AIが得意なのは、その混ざった依頼を分類し、文面を整え、次の担当に渡す部分です。
Nさん:人を1人増やす前に、まず散らかった作業を整える感じですね。
松尾:そうです。アスカレッジでは採用支援だけでなく、人を採らない仕組みづくりも見ています。等身大の業務量を見て、無理に背伸びさせず、月20時間削れる作業を探す。たとえば毎日30分の日程調整なら月約10時間、問い合わせ返信が1日20件で1件3分なら月20時間以上になります。
Nさん:数字にすると怖いですね。忙しい理由が、ちゃんと見えてきます。
松尾:先日ある経営者の方と話した時も、人事、経理、法務、労務の作業が1人に寄っていて、本人が疲弊しているという相談がありました。そこで、まず作業系だけを洗い出してシステム化できるか見たんです。判断が必要な仕事と、入力・確認・転記の仕事を分けるだけで、AIの出番はかなり見えます。
最初の30日は棚卸しから
Nさん:導入ツールを探す前に、棚卸しですか。
松尾:はい。最初の30日は、AIツール比較より業務の見取り図づくりに使うほうが失敗しにくいです。Nさんの会社なら、総務に届く依頼を1週間だけ記録します。件名、依頼者、所要時間、判断の有無、使ったシステム。この5項目で十分です。
Nさん:1週間ならできそうです。たとえば、入社書類の案内が8件、備品購入が12件、勤怠修正が20件、採用面接の日程調整が15件、社内問い合わせが40件、みたいに出せますね。
松尾:その数字が出たら、総務 AI 業務効率化の候補を3分類します。1つ目は文章を作る仕事、2つ目は予定を合わせる仕事、3つ目は情報を探す仕事。AIチャット、日程調整ツール、社内FAQのどれが合うかを、業務側から決められます。
Nさん:逆に、AIに任せないほうがいいものはありますか。
松尾:あります。懲戒、評価、退職勧奨、個別の労務判断は、人が責任を持つ領域です。ただ、面談メモの要約、論点整理、必要書類のチェックリスト化まではAIで補助できます。判断は人、下準備はAI。この線引きが実務では効きます。
Nさん:なるほど。全部自動化ではなく、詰まりやすい前工程を軽くするイメージですね。
松尾:ある人事担当者は、日々のメール文面をAIに下書きさせただけで、1通あたり5分かかっていた返信が2分前後になったと話していました。1日25通なら75分の差。月20営業日で25時間です。派手ではないですが、総務の残業を減らすにはこういう地味な改善が強いんです。
総務 AI 業務効率化で日程調整を減らす
Nさん:うちで一番ストレスが大きいのは日程調整です。面接、健康診断、産業医面談、社内会議。相手が3人を超えると一気に崩れます。
松尾:総務 AI 業務効率化で最初に効果が出やすいのが、まさに日程調整です。候補日を聞く、空き時間を照合する、URLを送る、前日にリマインドする。この4工程は、人が毎回考えなくても回せます。
Nさん:ただ、役員は必須参加で、現場責任者は2人のうち1人いればいい、みたいな条件があります。そこが手作業になりがちで。
松尾:先日ある企業との打合せでも、必須参加者が2人、任意参加者が4人いて、そのうち2人が参加できれば成立という複雑な日程調整が話題になりました。そこで専用の設定を作り、リマインドメールも拠点ごとに変え、チャットにも通知する形で1〜2週間テストする流れにしたんです。
Nさん:それ、かなり現場っぽいですね。単純なカレンダー共有では足りない場面が多いです。
松尾:そうなんです。中小企業では、きれいなルールより例外処理が多い。だから最初から100点を狙わず、まず5種類の会議だけに絞る。採用面接、入社説明、産業医面談、評価会議、社内定例。この5つで月30件あるなら、1件10分削るだけで月5時間です。
Nさん:採用面接の候補者対応にも使えますか。
松尾:使えます。予約URL、履歴書の要否、当日の接続情報、緊急連絡先をテンプレート化しておく。AIは候補者ごとに文面を自然に整えられます。人事担当者が最後に確認するだけなら、対応品質を落とさずにスピードが上がります。
問い合わせ対応はテンプレと履歴で整える
Nさん:社内問い合わせも多いです。交通費の締め日、名刺発注、証明書発行、勤怠修正。毎回同じことを答えている感覚があります。
松尾:そこはテンプレートと履歴の整備が効きます。まず過去3か月分の問い合わせを集めて、上位20件をAIに分類させます。すると、総務が本当に答えるべき質問と、社員が自分で確認できる質問が分かれます。
Nさん:上位20件だけでいいんですか。もっと網羅しないと不安です。
松尾:最初から100件作ると更新が止まりやすいです。まず20件で始め、月1回、5件ずつ追加する。半年で50件になります。総務 AI 業務効率化は、完成品を一気に作るより、運用しながら育てるほうが定着します。
Nさん:実際には、どんな返答をAIに作らせるのでしょう。
松尾:たとえば、勤怠打刻を忘れた社員に対して、申請先、締切、承認者、注意点を含めた文面を下書きさせます。証明書発行なら、必要情報、発行までの目安、受け取り方法を入れる。人がゼロから書かずに済むだけで、心理的な負担が下がります。
Nさん:新人総務にも良さそうですね。ベテランに聞く前に、ある程度の回答案が出るので。
松尾:はい。新人が入って最初の3か月は、質問する側も答える側も時間を使います。FAQとAI下書きがあれば、教育コストを月10時間ほど下げられるケースもあります。等身大の運用としては、社内チャットに問い合わせ窓口を1つ作り、AIが分類、担当者が承認、履歴をFAQに反映。この流れが始めやすいです。
Nさん:問い合わせ履歴が資産になるのはいいですね。今は流れて消えています。
松尾:消える会話を残るナレッジに変える。総務の仕事を見える化する意味でも、かなり価値があります。
総務 AI 業務効率化と採用RPOの接点
Nさん:総務と採用が兼務だと、応募者対応も総務に来ます。正直、社内対応と社外対応が混ざると頭が切り替わりません。
松尾:総務 AI 業務効率化は、採用RPOとも相性があります。応募受付、面接案内、リマインド、選考結果の下書き、入社書類の案内。この5工程は、総務が抱え込みやすいけれど、標準化しやすい領域です。
Nさん:候補者への文面は慎重になります。失礼があると会社の印象に直結しますから。
松尾:だからこそ、テンプレートを1つに固定せず、状況別に3パターン持つのがおすすめです。カジュアル面談、一次面接、最終面接で文面を分ける。履歴書が必要なタイミング、オンラインURLの案内、当日の担当者名、所要時間45分などを自動で差し込むと、漏れが減ります。
Nさん:以前、履歴書をお願いするタイミングが担当者によって違って、候補者から確認が来たことがありました。
松尾:先日ある採用現場でも、予約URLを送るだけでなく、履歴書の要否やメッセージテンプレートをどこに置くかまで確認していました。こういう細部が整うと、候補者対応のばらつきが減ります。採用は華やかな面接だけでなく、その前後の事務が印象を作ります。
Nさん:求人票の作り方にもAIは使えますか。
松尾:使えます。ただし注意点があります。たとえば応募数を増やすために職種名を広げすぎると、入社後に思っていた仕事と違うという退職リスクが出ます。ある打合せでも、事務寄りに見せると応募は増えるが、実態が電話対応中心ならミスマッチが起きるという話がありました。AIは表現を整えられますが、仕事内容を無理に良く見せるのは逆効果です。
Nさん:無理に背伸びさせず、正直に魅力を出すほうが長く働いてもらえそうです。
松尾:その感覚が採用にも総務にも効きます。
失敗しない導入順は3段階
Nさん:ここまで聞くと、やることが多く見えてきました。導入順を決めるなら、どこからでしょう。
松尾:3段階で見ると進めやすいです。第1段階は記録、第2段階は下書き、第3段階は自動連携。いきなり自動連携に行くと、例外処理で止まります。まずは1か月、問い合わせ件数や日程調整件数を記録する。次にAIでメールやFAQを下書きする。最後にカレンダー、チャット、申請フォームとつなぐ流れです。
Nさん:KPIは何を置けばいいですか。削減時間だけだと、現場がピンと来ないかもしれません。
松尾:削減時間、返信速度、差し戻し件数の3つが分かりやすいです。たとえば、問い合わせ一次返信を24時間以内から4時間以内にする。入社書類の差し戻しを月15件から5件にする。日程調整の往復メールを平均4往復から1往復にする。このように行動に近い数字へ落とします。
Nさん:それなら改善したか見えますね。
松尾:システム開発の現場では、背景、目的、アクション、完了条件を1つの課題に紐づけて管理します。先日ある開発系の打合せでも、機能なのか不具合なのか、誰が担当なのか、どの課題と関連するのかを整理していました。総務のAI導入も同じで、目的が曖昧なままツールだけ入れると、誰も使わなくなります。
Nさん:完了条件という考え方は新鮮です。AIチャットを入れたら完了ではなく、月20時間減ったら完了、みたいに決めるんですね。
松尾:その通りです。総務 AI 業務効率化は、ツール導入プロジェクトではなく、業務の詰まりをほどくプロジェクトです。伴走する側としても、数字と現場の納得感を両方見ます。
人を採らない仕組みづくりへ
Nさん:最後に、経営者へどう説明するか悩みます。AIを入れたいと言うと、費用対効果を聞かれるので。
松尾:経営者には、人件費削減ではなく、採用しなくても回る余白づくりとして話すと伝わりやすいです。総務2人が毎月40時間の残業をしているなら、まず20時間を減らす。年間で240時間です。新たに1人採る前に、今いる人が本来の判断業務へ戻れるかを見るわけです。
Nさん:たしかに、採用するにも教育するにも時間がかかります。欠員が出てから慌てるより、先に仕組み化したいです。
松尾:アスカレッジの考え方は、人を採る支援と、人を採らない仕組みづくりの二軸です。総務 AI 業務効率化は後者に見えますが、実は採用にも効きます。総務が疲れ切っていない会社は、候補者対応も丁寧になりますし、入社後のオンボーディングも安定します。
Nさん:総務の余裕が、会社の印象につながるんですね。
松尾:はい。先日も、写真を送るだけで情報発信の文章を作る仕組みや、カレンダーと顧客情報を見て営業担当を支援する仕組みの相談がありました。AIは特別な部署だけのものではなく、日々の小さな手間を減らす道具になりつつあります。
Nさん:うちなら、まず日程調整と問い合わせFAQから始めたいです。30日で棚卸し、次の30日で下書き運用、3か月目に一部連携。このくらいなら現実味があります。
松尾:その進め方なら、現場も置いていかれません。等身大の改善を積み上げると、総務の仕事はもっと見えるようになります。総務 AI 業務効率化を自社でどこから始めるか迷っている場合は、アスカレッジに無料相談をいただければ、業務棚卸しから導入順まで一緒に整理します。