人事 AI 採用 自動化は何から始めるべきか
── 中小企業が人事 AI 採用 自動化に取り組むなら、最初にどこを見るべきでしょうか。
松尾:最初に見るべきなのは、AIそのものではなく、採用業務の中で「人がやらなくても結果が変わらない作業」です。たとえば求人票の初稿作成、応募者への日程候補送付、面談前のリマインド、選考状況の更新。このあたりは1件あたり5分から15分でも、月に30人対応すれば数時間単位で積み上がります。人事 AI 採用 自動化という言葉だけ聞くと大きな改革に見えますが、実際は細かい手間を1つずつ減らす話なんです。
先日ある人事担当者とお話した時も、困っていたのは「応募者を見極めるAI」ではなく、面談調整の往復でした。候補者が3人、面接官が2人いるだけで、メールやチャットが6往復、7往復になる。しかも返信が夜に来ると翌朝まで止まる。こういう詰まりをなくすだけで、面接設定率が上がるケースはあります。
等身大の導入でいいと思っています。いきなり採用判断をAIに任せる必要はありません。まずは1週間の業務を棚卸しして、毎日発生する作業、週1回発生する作業、月1回だけの作業に分ける。毎日発生するものから自動化すると、効果が見えやすいんです。5人規模の管理部門でも、10人の採用プロジェクトでも同じで、最初の一歩は「時間が溶けている場所」を見つけることですね。
応募が少ない会社ほどAI活用の順番が重要
── 応募者が多い企業と少ない企業では、人事 AI 採用 自動化の使い方も変わりますか。
松尾:かなり変わります。応募が月100人ある会社なら、スクリーニングや一次面接の効率化が効きます。一方で中小企業では、そもそも月の応募が3人、5人というケースも珍しくありません。そうなると、一次面接を自動化しましょうと言われても、現場としてはピンとこないんですよ。むしろ1人の応募者を逃さないための自動化が先です。
実際、ある打合せで「一次面接を丁寧に組んでいる間に候補者が他社へ行ってしまう」という話がありました。応募数が少ない会社では、段階を増やすほど離脱リスクが上がります。初回接点から24時間以内に返信する、候補者が選べる日程を3枠以上出す、面接前日に自動で案内を送る。こうした地味な仕組みのほうが、採用成果に直結しやすいですね。
人事 AI 採用 自動化を考える時、応募者をふるい落とす発想だけだと危ないです。特に採用難の職種では、AIは選別係ではなく、候補者体験を整える裏方として使うのが現実的。求人票の文面も、AIで10パターン作って終わりではなく、自社の社風、働き方、入社後の役割を無理に背伸びさせずに言語化する。候補者が知りたいのは、きれいな言葉より「入った後に何をするのか」ですから。
求人票とスカウト文はAIでたたき台を作る
── 求人票やスカウト文の作成にもAIは使えますか。
松尾:使えます。ただし、丸投げはおすすめしません。AIが得意なのは、情報を整理して文章のたたき台を作ることです。たとえば仕事内容、必須条件、歓迎条件、働く環境、選考フローを箇条書きで入れると、求人票の初稿は数分で出せます。これまで1職種に2時間かかっていた作業が、30分になることもあります。
ただ、ここで大事なのは「会社らしさ」を後から入れることです。先日ある候補者面談で、前職を選んだ理由と辞めた理由を聞いていた時に、入社前に聞いていた業務と実際の役割がずれていた、という話がありました。エンジニアとしてコードを書くつもりだったのに、入ってみると調整やディレクションが中心だった。これは求人票の言葉がきれいでも、実態との接続が弱いと起きるズレです。
人事 AI 採用 自動化では、AIに魅力的な表現を作らせるだけでなく、現場のリアルを反映させる必要があります。「1日の業務割合は顧客対応4割、実作業4割、社内調整2割」など数字で示すと、候補者の理解が進みます。スカウト文でも同じで、誰にでも刺さる文章より、相手の経験に1か所だけ触れる文章のほうが返信率は上がりやすい。AIで8割作り、人が2割直す。この配分が今のところ、現場に馴染みやすいですね。
面談調整の自動化は採用体験を変える
── 採用業務の中で、最も自動化しやすい領域はどこでしょうか。
松尾:面談調整です。ここは人事 AI 採用 自動化の中でも、効果が見えやすい領域だと思います。日程候補を出す、候補者が選ぶ、カレンダーに反映する、面接官へ通知する、前日にリマインドする。この流れは、判断よりも処理の比重が大きい。人が毎回コピーして送るより、仕組みに任せたほうが安定します。
現場では、面談調整だけで1日30分から1時間を使っていることがあります。週5日なら最大5時間、月20営業日なら20時間です。しかも、その時間は集中して使えるわけではありません。返信が来たら作業を止める、カレンダーを見る、面接官に確認する。細切れの中断が人事担当者の負担になります。
以前、ある打合せで日程調整システムのテストについて話していた時も、論点は高機能かどうかではなく「実際の社内環境でちゃんと動くか」でした。少人数で試して、カレンダー連携に問題がないか、通知が迷惑にならないか、候補者側の画面が分かりやすいかを見る。伴走しながら小さく確認するほうが、導入後の混乱は少ないです。
採用はスピードが印象になります。返信が2日後の会社と、当日中に日程が決まる会社では、候補者の安心感が違います。AIや自動化は冷たいものではなく、待たせないための仕組みとして使うと、むしろ人間味が伝わる場面もあるんです。
AIで選考を任せすぎない線引き
── AIに任せてよい業務と、人が見るべき業務の線引きはありますか。
松尾:あります。人事 AI 採用 自動化で気をつけたいのは、判断の責任までAIに渡さないことです。履歴書の要約、面接メモの整理、質問案の作成、評価項目の抜け漏れチェックはAIに向いています。一方で、採用可否の最終判断、カルチャーフィットの確認、候補者の不安への対応は人が担うべきです。
たとえば未経験者採用では、書類だけ見ると弱く見える人がいます。資格がない、実務経験が0年、職歴に空白がある。でも面談で話すと、自分で学費を工面して卒業した経験があったり、数字を扱う仕事への関心が一貫していたりする。こういう背景は、AIの要約だけでは薄くなりやすいんです。実際の面談でも、経歴の見え方と本人の軸が違うケースは何度もあります。
だから、AIには「見落としを減らす役割」を持たせるのがいいですね。面接前に質問を5問出す、過去の面談メモから確認すべき点を3つ整理する、候補者への返信文を作る。ここまでは十分使えます。ただし、最後に「この人と一緒に働けるか」「入社後に無理が出ないか」を見るのは人です。
等身大の採用では、候補者を理想像に押し込めません。会社側も無理に背伸びさせず、できること、まだ整っていないことを伝える。AIはそのための準備時間を作る道具であって、面接官の代わりそのものではないと思っています。
採用代行とAIの組み合わせ方
── RPO、つまり採用代行とAIはどのように組み合わせるとよいですか。
松尾:RPOはRecruitment Process Outsourcingの略で、採用業務の一部または全部を外部が担うことなんですが、AIとの相性はいいです。理由は、業務プロセスを分解して見える化しやすいからです。求人作成、媒体運用、応募者対応、日程調整、面接後フォロー、内定連絡。どこに人の判断が必要で、どこを自動化できるかを整理できます。
たとえば月に10職種を同時に動かす企業なら、求人票の更新だけでも大きな負担です。応募があった媒体を確認し、候補者へ連絡し、進捗表を更新する。この作業を人力だけで回すと、担当者が1人の場合はすぐ詰まります。そこでAIで文面作成や要約を行い、RPO側が候補者対応の温度感を見ながら調整する。人事 AI 採用 自動化は、社内人事を置き換えるというより、担当者が採用判断に集中できる状態を作るものです。
先日ある経営者の方と話した時も、求めていたのはAIツールの説明ではなく「自社の業務に合わせて仕組みを作れるか」でした。一般的なパッケージを入れて終わりではなく、今の承認フロー、面接官の動き、現場責任者の癖まで見たうえで設計する。伴走型で入ると、ツールの機能より運用の定着率が変わります。
採用代行とAIを組み合わせるなら、最初の1か月は成果よりもデータを集める期間にするのが現実的です。応募数、返信率、面接設定率、辞退理由、採用決定までの日数。この5つを見るだけでも、改善点はかなり見えてきます。
採用だけでなく採らない仕組みも考える
── アスカレッジでは「人を採る支援」と「人を採らない仕組みづくり」の二軸を掲げています。AI活用とも関係しますか。
松尾:かなり関係します。採用相談を受けていると、最初は「人が足りない」という話でも、よく聞くと業務のやり方が古くて人手が必要になっているケースがあります。Excelへの二重入力、紙の確認、毎回手で作る報告書、誰かしか知らない承認手順。そこを整理すると、1人採用しなくても回ることがあるんです。
ある業務改善の相談では、会社ごとの業務プロセスを細かく聞き、社内でも外出先でも使えるWeb上の仕組みに置き換える話がありました。AIを教える研修だけではなく、その会社用に業務をパッケージ化するイメージです。たとえば確認作業を12項目から5項目に減らす、入力内容を自動で転記する、担当者への通知を自動化する。これで月30時間の事務作業が減れば、採用1人分の前にできることがあります。
人事 AI 採用 自動化を考える時も同じです。採用を増やす前に、本当にその人員が必要かを見る。もちろん採るべき場面はあります。ただ、採用は入社後の教育、評価、定着まで続く長い投資です。3か月で辞めてしまえば、求人費よりも現場の疲弊が大きい。だからこそ、採用支援と業務自動化を分けずに考える意味があります。
等身大の幸せという理念は、会社にも働く人にも無理をさせないことにつながります。人を採るべきか、仕組みで解くべきか。その見極めから一緒に考えるのが、アスカレッジの伴走です。
導入前に決めたい3つの基準
── 最後に、人事 AI 採用 自動化を始める前に決めておくべき基準を教えてください。
松尾:最初に決めたいのは、何を減らしたいのか、何を増やしたいのか、誰が運用するのかです。時間を減らしたいのか、返信漏れを減らしたいのか、面接設定率を上げたいのか。ここが曖昧なままツールを入れると、便利そうだけど使われない状態になります。
具体的には、導入前に現在地を数字で置くのがいいです。応募から初回返信まで平均何時間か、面接設定率は何%か、月に何件の辞退があるか、求人票の作成に何時間かかっているか、採用担当は何人で回しているか。5項目だけでも十分です。そこから、まず1つだけ改善目標を決める。たとえば「初回返信を48時間以内から24時間以内にする」くらいの粒度が現場では動かしやすいですね。
そして、運用担当を1人に閉じないことも大事です。中小企業では、担当者が休むと採用が止まることがあります。テンプレート、進捗管理、候補者対応の履歴を残し、誰が見ても状況が分かる状態にする。AIはその記録を整理するのに向いています。
人事 AI 採用 自動化は、派手な変革ではなく、採用の滞りを1つずつなくす取り組みです。自社の採用業務を棚卸ししたい、採用代行と自動化を組み合わせたい、採る前に業務改善の余地を見たいという場合は、アスカレッジへ無料相談でお声がけいただければ、今の体制に合わせて無理のない進め方を一緒に設計します。