採用代行と自社採用、最初に見るべき判断軸
── 採用代行と自社採用、結局どっちがいいのか教えてください。
松尾:結論から言うと、「社内に採用を回す時間があるか」と「採用したい人数が何人か」で判断するのが一番現実的です。検索では「採用代行 自社採用 どっち」と調べる方が多いと思うんですが、正解は会社の体力によって変わります。たとえば年間1〜2人の採用なら、自社採用で十分回せるケースもあります。一方で、3カ月で5人、半年で10人を採りたいとなると、求人票作成、媒体運用、応募者対応、面接調整だけで週10〜20時間は溶けます。
現場感でいうと、人事担当者が1人しかいない中小企業では、採用だけを見ているわけではありません。給与計算、労務、入退社手続き、社内相談、研修、評価制度まで抱えていることが多い。そこにスカウトを1日50通、応募者返信を24時間以内、面接日程を週5件調整となると、かなり無理があります。
先日ある人事担当者とお話した時も、「求人媒体は出しているけれど、応募者対応が後手に回って面接前に辞退される」という話がありました。応募から返信まで2日空くだけで、候補者の熱量は落ちます。特に若手層や経験者採用では、他社が半日以内に連絡していることも珍しくありません。
なので「採用代行 自社採用 どっち」で迷ったら、まず採用業務を10個くらいに分解して、1週間で何時間使っているかを書き出すのがおすすめです。自社でやるべき仕事と、外に出した方が速い仕事は違います。アスカレッジでは、等身大の採用体制を前提に、無理に背伸びさせず、どこを社内に残すかから一緒に見ています。
自社採用が向いている会社の3つの特徴
── 自社採用で進めた方がいい会社には、どんな特徴がありますか。
松尾:自社採用が向いているのは、採用したい人物像がかなり明確で、社内に発信できる人がいて、応募者対応の時間も確保できる会社です。たとえば年間採用人数が1〜3人で、面接官が固定されていて、求人票の修正も月1回できる。こういう会社なら、採用代行を入れなくても十分戦えます。
具体例で言うと、地域密着のサービス業で「未経験でも3カ月で一通り覚えられる」「社員の平均年齢は30代」「残業は月15時間前後」といった情報を社内で整理できている会社。これは強いです。求人媒体に載せる文章も、面接で話す内容もブレにくいので、候補者が入社後を想像しやすくなります。
ただ、自社採用には落とし穴もあります。社内の人だけで考えると、自社の良さに気づきにくいんです。「うちは普通ですよ」と言われる会社ほど、実は定着率が90%以上だったり、社長が毎月1回全員と話していたり、現場の教育が丁寧だったりします。外から見ると魅力なのに、中にいると当たり前になっているんですね。
「採用代行 自社採用 どっち」という悩みで相談を受ける時、自社採用を選んだ方がいい会社には共通点があります。応募が少なくても、1人ひとりに丁寧に向き合える。面接後の連絡を当日中に返せる。求人票の数字を毎週見られる。最低でもこの3つができるなら、自社採用を軸にして問題ありません。
採用は、会社の言葉を候補者に届ける仕事でもあります。自社らしさを言語化できる会社は、外部に任せすぎない方がよい場面も多いですね。等身大の魅力が伝わると、内定承諾率が20%以上改善することもあります。
採用代行が効くのは「手が止まる工程」
── では、採用代行を使った方がいいのはどんな場面でしょうか。
松尾:採用代行が効くのは、採用の意思決定そのものではなく、手が止まりやすい工程です。採用代行、いわゆるRPOはRecruitment Process Outsourcingの略で、これは採用業務の一部または全部を外部が担うことなんですが、中小企業では全部丸投げよりも「詰まっている部分だけ外す」方が成果につながりやすいです。
たとえば、スカウト文面の作成、候補者リストアップ、媒体管理、応募者への初回返信、面接日程調整、人材紹介会社との連絡。このあたりは、1件ずつは小さいのに積み上がると重い。スカウトを月300通送るなら、候補者選定だけで10時間以上かかることもあります。さらに返信率が3%なら面談候補は9人。文面改善で返信率が5%に上がると15人になり、同じ媒体費でも接点数が変わります。
先日打合せで聞いた話では、求人の内容を7割ほど変えて新しく見えるようにしたものの、クリック数がほとんど変わらなかったケースがありました。文章を変える努力は必要ですが、媒体側の表示ロジック、競合求人の数、出し直しの頻度も見ないと判断を誤ります。こういう時、外部の視点があると「文章の問題なのか、運用の問題なのか」を切り分けやすくなります。
「採用代行 自社採用 どっち」と聞かれたら、私はまず「いま止まっている工程はどこですか」と返します。面接で口説けないなら社内の課題。応募者対応が遅いなら代行で改善しやすい。求人票が弱いなら一緒に設計する。採用代行は魔法ではありませんが、詰まりを取る道具として使うとかなり有効です。
費用だけで比べると判断を間違える
── 費用面では、自社採用の方が安く見えますよね。
松尾:見た目の費用だけなら、自社採用の方が安く見えることは多いです。ただ、採用担当者の工数を時給換算していない会社も多いんですよ。仮に担当者が週15時間を採用に使い、1カ月で60時間。そこに面接官の時間、現場確認、求人票修正、応募者連絡が乗ります。採用できなかった月も工数は発生しますから、実質コストはゼロではありません。
もちろん、採用代行にも費用はかかります。ただ比較するなら、月額費用だけでなく「何件対応して、何人と面接し、何人採用できたか」まで見る必要があります。たとえば月100件の応募対応がある会社で、返信遅れによる辞退が10件出ているなら、代行で初回返信を早める価値はあります。逆に応募が月3件しかないのに、応募者対応だけ外注しても効果は限定的です。
ある経営者の方から、「人材紹介会社を4社使う予定だが、多いのか少ないのかわからない」と相談されたこともあります。数を増やすだけでは採用は進みません。紹介会社に渡す求人情報が薄い、推薦後の返信が遅い、面接基準が毎回変わる。この3つがあると、紹介会社が何社あっても候補者は増えにくいんです。
だから「採用代行 自社採用 どっち」を費用だけで決めるのは危険です。見るべきは、採用単価、採用までの日数、担当者の工数、辞退率、内定承諾率の5つ。数字を並べると、月額の安さよりも「機会損失」の方が大きい場面が見えてきます。
採用は投資ですが、無理に高い施策を選ぶ必要はありません。等身大の予算で、まず1職種だけ代行を入れて3カ月検証する。こういう小さな始め方の方が、中小企業には合いやすいと感じています。
自社に残すべき業務、外に出せる業務
── 採用代行を使う場合、どこまで任せるのが現実的ですか。
松尾:自社に残した方がいいのは、採用基準の決定、面接での見極め、入社後の期待値調整です。ここは会社の未来に直結します。外部が代わりに決めるものではありません。一方で、外に出しやすいのは、候補者検索、スカウト送信、応募者への一次連絡、日程調整、求人票のたたき台作成、媒体レポートの整理です。
わかりやすく分けると、意思決定は社内、運用は外部です。たとえば営業職を2人採りたい会社なら、「どんな顧客を担当するのか」「入社後6カ月で何を任せるのか」「未経験者でもよいのか」は社内で決めます。そのうえで、求人票に落とす、媒体に出す、週次で応募数を見る、スカウト対象を調整する部分を伴走する形が現実的です。
ミニエピソードとして、ある会社では面接日程の調整だけで人事担当者が週5時間ほど使っていました。候補者、現場責任者、役員の3者調整が必要で、メールが1往復増えるたびに面接設定が1日遅れる。そこを外部で整理したところ、面接設定までの平均日数が4日から2日に短縮されました。採用決定そのものは社内ですが、候補者を逃さない流れは作れます。
「採用代行 自社採用 どっち」で迷う時ほど、全部を白黒で分けない方がいいです。採用広報は自社、スカウト運用は外部。一次返信は代行、最終面接後のフォローは社長。こうした役割分担の方が、会社の温度感も残ります。
採用代行は、会社の代わりに採るサービスではなく、採れる状態を整えるサービスです。アスカレッジが大事にしているのも、無理に背伸びさせず、その会社の人事が続けられる形にすることですね。
判断に使える7つのチェック項目
── 具体的に、判断する時のチェック項目はありますか。
松尾:あります。感覚で決めるより、簡単なチェックにした方が社内でも話しやすいです。以下の7つを見て、4つ以上当てはまるなら採用代行の検討余地があります。
- 応募者への初回返信が24時間以内にできていない
- 採用担当者が週10時間以上、媒体運用や調整に追われている
- 3カ月以上、同じ職種で採用決定が出ていない
- 面接設定率が50%を下回っている
- 求人票を1カ月以上更新していない
- 人材紹介会社への返信が2営業日以上空く
- 採用数が半年で5人以上必要になっている
このチェックは、「採用代行 自社採用 どっち」を社内で議論する時にも使いやすいです。たとえば経営者は「採用できない」と感じていても、人事担当者は「応募は来ているが面接につながらない」と見ているかもしれません。現場責任者は「面接はしているが合う人がいない」と感じることもあります。同じ採用課題でも、見ている場所が違うんです。
先日ある打合せでも、求人件数が毎月かなり多く見えていたものの、実際には新規求人が増えているのか、既存求人を出し直しているだけなのかが判別しにくいという話がありました。数字は見えていても、意味づけを間違えると施策もズレます。応募数、クリック数、面接数、内定数を並べて、どこで落ちているかを見るだけで次の打ち手は変わります。
採用は根性論で回すと疲弊します。週1回30分だけでも数字を見る時間を作り、2週間単位で改善する。自社でそのリズムが作れるなら自社採用で進められます。難しければ、外部にリズムづくりを任せる選択もあります。
中小企業は「部分代行」から始めると失敗しにくい
── 中小企業が採用代行を使うなら、どんな始め方がよいでしょうか。
松尾:最初から全部任せるより、1職種、1媒体、3カ月など範囲を区切るのがおすすめです。中小企業の場合、採用のやり方がまだ言語化されていないことも多いので、いきなり全面的に外へ出すと社内にノウハウが残りにくいんです。アスカレッジでは「人を採る支援」と同時に、「人を採らない仕組みづくり」も見ています。採用だけ増やしても、業務が属人化したままだとまた人手不足になりますから。
具体的には、まず求人票と採用フローを整理します。応募から内定まで何日かかっているか、面接は何回か、誰が何を判断しているか。ここを可視化するだけで、面接回数を3回から2回に減らせたり、日程調整を1日短縮できたりします。小さな改善ですが、候補者体験にはかなり効きます。
「採用代行 自社採用 どっち」という問いの先には、「採用を会社の中にどう残すか」というテーマがあります。代行を使っても、会社の魅力を語るのは社内の人です。現場の1日の動き、入社後1カ月の教育、評価される行動、忙しい時期のリアル。こういう情報は、外部だけでは作れません。だからこそ伴走型が合います。
ある会社では、採用代行でスカウト運用を3カ月だけ支援し、その後は社内担当者が週2時間で運用できる状態に移しました。最初は候補者検索に1回90分かかっていたのが、条件整理後は30分ほどになった。こういう引き継ぎができると、外注費を払い続けるだけの関係になりません。
必要な時は外部の力を使い、残すべきところは社内に残す。そのバランスが、中小企業の採用を長く続ける土台になります。採用体制を一度見直したい場合は、無料相談で現在の工数や歩留まりを一緒に確認できます。