中小企業の事務AI効率化は、ツール選びより棚卸し

── 中小企業が事務のAI活用を考えるとき、最初に何から始めるのが現実的でしょうか。

松尾:結論から言うと、いきなりツールを入れるより、まず事務作業を30分単位で棚卸しするほうが成果は出やすいです。事務 AI 効率化 中小企業というテーマで相談を受けると、皆さん最初に「どのAIがいいですか」と聞かれます。でも、実際には請求書処理、日程調整、求人応募者への連絡、議事録作成など、どこに時間が溶けているかが見えていないケースが多いんです。

たとえば5人の管理部門で、毎日1人あたり15分の転記があると、月に約25時間になります。ここをAIや自動化で半分にできるだけでも、採用面接の調整や社員対応に時間を戻せます。等身大の改善でいいんです。最初から100点を狙わず、まず月10〜20時間の削減を見にいくのが中小企業には合っています。

AIに任せやすい事務、任せにくい事務

── 事務業務の中でも、AIに向いているものと向いていないものはありますか。

松尾:あります。AIに向いているのは、情報を整理する、文章のたたきを作る、定型文を分類する、といった作業です。事務 AI 効率化 中小企業の現場で効果が出やすいのは、メール返信案、会議メモの要約、求人票の文面修正、社内FAQの下書きあたりですね。AI-OCRという仕組みもあります。これは紙やPDFの文字を読み取ってデータ化する技術のことなんですが、請求書や申込書の入力削減に使えます。

一方で、最終判断や例外対応は人が残したほうがいい。たとえば給与、契約、個人情報に関わる処理は、AIの提案をそのまま通すのではなく、必ず確認者を置く設計にします。任せる範囲を間違えると、効率化のはずが確認作業を増やしてしまうんです。

月20時間削減を狙う3つの導入ステップ

── 実際に導入する場合、どんな順番で進めると失敗しにくいですか。

松尾:おすすめは3ステップです。1つ目は、2週間だけ作業時間を記録すること。厳密な工数管理ではなく、「応募者連絡に1日40分」「請求書確認に週3時間」くらいの粒度で十分です。2つ目は、同じ文章や同じ入力が何回出てくるかを見ること。3つ目は、1業務だけ試すことです。

事務 AI 効率化 中小企業の導入で避けたいのは、全社一斉に始めることです。最初は、議事録作成だけ、問い合わせメールの分類だけ、採用候補者への一次返信だけ、という小さな範囲で構いません。1か月試して、削減時間が月5時間未満なら別の業務に移す。月20時間以上の余地が見えたら、ルール化して周辺業務へ広げる。この進め方だと、現場の抵抗もかなり小さくなります。

採用・人事まわりの事務こそ効果が見えやすい

── アスカレッジの事業領域である採用や人事では、どんな効率化が考えられますか。

松尾:採用まわりは、かなり相性がいいです。応募者への連絡、面接日程の調整、求人票の改善、面接メモの整理、合否連絡の文面作成など、事務作業が細かく積み重なっています。先日ある人事担当者と話していたら、「面接よりも日程調整のほうが疲れる」とおっしゃっていて、まさに現場の本音だなと感じました。

事務 AI 効率化 中小企業という視点では、採用管理システムとAIを組み合わせるだけでも変わります。RPO、これは採用代行のことなんですが、外部の伴走者が業務フローを見ながら、AIに任せる作業と人が見る作業を分けると定着しやすい。応募者対応はスピードが重要で、返信が24時間遅れるだけで辞退率が上がることもあります。だからこそ、事務の効率化は採用力の改善にもつながります。

失敗する会社に多い、3つの落とし穴

── AI導入でつまずく中小企業には、共通点がありますか。

松尾:よくあるのは3つです。ひとつは、無料ツールを個人判断で使い始めてしまうこと。便利ですが、個人情報や契約情報を入力してよいかの線引きがないと危険です。次に、AIの回答を正解として扱ってしまうこと。AIはもっともらしい文章を作るのが得意なので、確認の手順は欠かせません。最後は、担当者1人に丸投げすることです。

事務 AI 効率化 中小企業で成果を出すには、最低限の社内ルールが要ります。たとえば、入力してよい情報、禁止する情報、確認者、保存場所、利用するツールを1枚にまとめる。これだけで運用はかなり安定します。無理に背伸びさせず、まずは社内の3名が同じルールで使える状態をつくる。そこから利用範囲を増やすほうが、結果的に早いです。

人を減らすAIではなく、人が動きやすくなるAIへ

── 最後に、事務のAI効率化を検討している経営者や人事担当者へ伝えたいことはありますか。

松尾:AI効率化というと、人を減らす話に聞こえることがあります。でも中小企業の現場では、むしろ人が本来やるべき仕事に戻るための手段だと考えています。事務 AI 効率化 中小企業の本質は、採用、人事、経理、総務が抱えている細かな負担を減らし、判断や対話に時間を移すことです。

アスカレッジでは「人を採る支援」と「人を採らない仕組みづくり」の両方を見ています。採用で解決すべき課題なのか、業務設計やシステムで軽くできる課題なのか。その見極めから入るほうが、投資も人員配置もずれにくいんです。月10時間の削減でも、年間では120時間。そこに何を戻すかで、会社の働きやすさは変わります。自社の事務をどこから軽くできるか、一度無料相談で一緒に整理できます。